平成31年1月19日(土)に飯高地域振興局にて開催されたトークセッション「100年杉と今を生きる」に興味があったので参加させて頂きました。
この事業は昨年から櫛田川でリバーカヤックでお世話になった特定非営利活動法人i sierra(アイ シエラ)が主催で開催されています。
日中の開催ですが、非常に多くの参加者がおり、ほぼ満席に近い状態で事業に対する注目度が伺えます。
i sierra(アイ シエラ)って
【NPO法人設立の趣旨・目的】
松阪市飯高町・飯南町は、香肌峡県立自然公園となっており、高見山、池木屋山など、台高山脈北部の山岳地帯を源流とする櫛田川の上・中流域で、川は蛇行しながらV字渓谷を形成し、岩を蝕む急流や深渕、露岩がつらなり、すばらしい渓谷美を見せています。
また、一帯は、古くからの全国有数の林業地としてスギ・ヒノキの造林が進んでいますが、国内の林業の不振から過疎化が進み、担い手不足による森林の一層の荒廃が懸念されます。
一方、櫛田川流域は古代、大和から伊勢への文化のルートとして開け、近世には伊勢・吉野・高野山への巡礼や、紀州候の参勤交代の紀州(和歌山)街道として栄えたところですが、地域文化の継承も過疎化によって危機に瀕しています。
このまま手をこまねいていては、飯高・飯南地域は益々過疎化が進み、地域社会が維持できなくなることが懸念されます。自然についても、人の手が入った森があってこそのすばらしい飯高・飯南の自然であり、自然を守っていくためにも、地域社会の維持・発展が不可欠だと考えます。
このため、飯高・飯南地域の住民やそこを訪れるものに対して、飯高・飯南地域の山・川・森などのすばらしい自然を体験する機会(カヌー、サイクリング、トレッキングなどのアウトドア・アクティビティの機会)や、暮らしの中に残っている昔ながらの知恵や工夫を体験する機会を提供し、地域のすばらしさの再認識や、地域振興につなげていきたいと考えています。
【団体の名称】
「i」は飯南や飯高を、「sierra」は飯高・飯南地域を流れる櫛田川(香肌峡)を囲んでいる山脈(やまなみ)を表しています。
【活動方針】
活動方針① 自然体験プログラムの実施による飯高ファンをつくる
活動方針② 森林や街道などの地域資源の再発見をすすめる
活動方針③ 活動の為の拠点づくり、商品開発、情報発信をすすめる
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すばらしい森と、川と、山と、
そして素敵な人と町を知ってもらう
飯高・飯南ファンをつくる。
30年間しのいで暮らすための、
自然を活かした仕事をつくる
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【将来ビジョン】
30年後の飯高・飯南の継続と再生
・100年生となった森林イより林業が主要産業となる
・森林の維持により、櫛田川の清流が保たれている
・自然とともにある心豊かな暮らし方が定着している
・飯高・飯南で育った子供たちが、誇りをもって暮らしている
飯高・飯南のすばらしさは「森林」と「人」にあり!
トークセッション「100年杉と今を生きる」
それでは定時になり、トークセッション始まりました。
【プログラム】
13:30 開会・あいさつ
特定非営利活動法人 i sierra(アイ シエラ)代表 太田 覚氏
13:35 公演
沖中造林株式会社 沖中 祐介 氏
14:15 トークセッション『100年杉の木彫りカヌー製作プロジェクト』
沖中 祐介氏(沖中造林株式会社)
金屋 誠氏(ベリタスドア)
伊藤 潤一氏(書家、アーティスト)
前川 仁志氏(もくいち・マルゴ株式会社)
15:15 質疑応答
15:30 閉会
まずは、特定非営利活動法人 i sierra(アイ シエラ)代表 太田 覚氏より、本事業の趣旨等についてと現在の取り組み対するご説明をいただきました。
まずは地域を知ってもらい、地域のファンづくりを行う中で、i sierra(アイ シエラ)として実施してきた、香肌峡でカヌー体験等のアクティビティや事業について紹介されていました。
続いて、沖中造林株式会社 沖中祐介氏の公演です。
沖中氏は、県内の金融機関に勤めていたが、退社され家業である沖中造林株式会社に入社
沖中林業は林業が盛んであった奈良県吉野から、明治11年に初代が移住して、現在の飯高町で創業された会社だそうで。その際に、吉野で得た間伐、植林、枝打ちなどの林業手法を用いて事業に取り組み、この地域の基幹産業でもある林業への貢献をされてきたそうです。
当時の林業への取り組みについてや、仕事内容、苦労話などを丁寧にお話いただき、林業についてはあまり知識はありませんでしたので新しい情報を得ることができ非常に興味深い内容でした。
何より飯南・飯高、そして木を愛し、木の可能性をしっかり考え、林業経営について向き合っているお話に非常に刺激を受けました。
続いて、i sierra(アイ シエラ)代表 太田 覚氏のコーディネートでトークセッションに入ります。
トークセッションテーマは『木彫りカヌー製作プロジェクト』
トラック輸送による物流が普及するまでは、櫛田川は木材を運ぶ重要な物流の中心でした。
山奥で切り倒した材木は、谷から支流そして本流へと引っ張り出し、筏師の手により平野部まで運ばれ、柱材など加工されていた。
このプロジェクトでは、かつての筏(いかだ)流しの歴史を想いつつ、切り出した100年生の杉を手彫りでカヌーに加工し、実際に櫛田川を下ってみようとするもの。
沖中造園株式会社が山を手入れして育て上げてきた100年生の杉を職人が伐採して
国産無垢材を多数扱うもくいちマルゴで木目にこだわった製材
木工作家である金屋誠氏が手彫りでカヌーを製作
G7伊勢志摩サミットで演出を担当した書家の伊藤潤一氏が木彫りカヌーに思いを込めて書をしたためた
途中で、松阪市の竹上市長もみえて少しだけお話いただきました。
竹上市長の○○な話では、昨年はi sierra(アイ シエラ)の取り組みに共感され、カヌー体験をされ、沈されたそうです。初カヌーで沈とは攻めますね~。
個々のこだわりや苦労話を聞かせていただくが、関わった皆さんはなんとも楽しそうで、充実感を凄く感じます。
このような凄いメンバーが集まって、このようなひとつのカヌーを作り上げていく。
100年杉ですが、100年前といえば
小津安二郎が宮前小学校の教員として赴任してきた
第1次世界大戦終結など
何か感慨深いものがあります。
100年杉の木彫りカヌー製作プロジェクト
完成したカヌーで櫛田川をスイスイと漕いでいる動画はなんとも気持ち良さそうで、素晴らしい仕上がりです。
実際に展示してあるので見せていただきましたが、この見事な木目を活かした製材。
まったく同じ木はない中で、強度や割れ、漕ぎやすさを考えた形状。
乗りやすそうな滑らかな加工
飯南・飯高をはじめとして、林業が衰退傾向にある中で、ビジネスだけではない、地域を想い、地域に活力を与えるような木彫りカヌー製作プロジェクトは非常に素晴らしいです。
まずは地域を知ってもらう、そして好きになってもらうというのは、一見、非効率かと思いますが、このような地道な取り組みっていうのが重要で、最終的にはファン作りにつながるんだと感じました。
近隣でも同じように、衰退傾向にある地域って多いですが、i sierra(アイ シエラ)のように地域のリーダーとなって突き進んでいう人材って本当に重要ですよね。
地域を動かすには多くの人の協力が必要ですが、主となる人は少なくても最後までやりきって、まわりを巻き込んでいければ何かしら結果はついてくるのではって期待してしまいます。
サプライズで、書家の伊藤潤一氏の書道パフォーマンス
最後はサプライズで、書家の伊藤潤一氏の書道パフォーマンス!!!
これが仕事道具!!!
本当に無茶振りやったみたいですが、めちゃくちゃかっこいい。
『今を生きる』
この一言は、今回のプロジェクトの取り組み、そして地域の取り組み。
いろんな意味が詰まっているなっておもいます。
そして、自分の中でもいろいろやっていきたいと思っており、めちゃくちゃ刺激を受けました!!
何か楽しいことをしたいですね。
100年杉の端材を使って染めた素材(生成り色の糸)で作ったマクラメです。
棄てるもの→放る木→HORUMOKU(ほるもく)と名付けたそうです。
■特定非営利活動法人 i sierra(アイ シエラ)
住 所 三重県松阪市飯高町下滝野1569
電 話 080-3630-4396
営業時間 9:00-18:00
設 立 2018年4月3日(法人登記)
事 業 体験プログラム等の実施
サ イ ト http://i-sierra.com/