三重県大台町の日本三大峡谷大杉谷と奈良県上北山村の大台ケ原とはつながっており、人気の登山ルートです。
以前に大杉谷登山を経験したものの、大台ケ原にまでは来たことがなかったので、大台ヶ原ドライブウェイが冬季閉鎖期間が終わったタイミングでドライブと散歩がてらいくことにしました。
大杉谷峡谷は中級の登山道ですが、大台ケ原の今回行く、東大台は勾配も少なくって、1周まわっていろんな景観を楽しむことが出来ます。
目次
大台ケ原とは
大台ヶ原は奈良県と三重県の県境にある標高1695mの山です。
日本百名山、日本百景、日本の秘境100選にも選ばれており、山全体が特別天然記念物に指定されています。また、世界遺産などで有名なユネスコが認定する、ユネスコエコパークにも「大台ケ原・大峯山・大杉谷」として認定されているほどの地域です。
その山頂が日出ヶ岳で、展望台からは大峯連山、台高山系、熊野灘を望むことができます。
日の出の鑑賞ポイントで、 晴れた日の早朝には富士山が見えることもあるんですって。
また、南東の急な斜面を海上から湿った風が吹き上げるため日本有数の多雨地帯で、年間で4,500mm以上の降雨があり、屋久島に並ぶと言われるほどです。
https://www.nakasete.com/yakushima-0414/
その豪雨によって激しく削られた大蛇嵓は、800mの断崖絶壁にあり、大峯山系のパノラマが広がりが広がり、有名な立ち枯れしたトウヒの風景を見ることが出来ます。
そして、正木峠のトウヒの立ち枯れは神秘的な光景が広がる一番見たかった場所ではあるものの、生きている木が一本もなく負のシンボルとも言われています。
ユネスコエコパークとは
ユネスコエコパークとは、生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目的として、ユネスコが開始しました。
ユネスコの自然科学セクターで実施されるユネスコ人間と生物圏(MAB:Man and the Biosphere)計画における一事業として実施されています。
地域の豊かな生態系や生物多様性を保全し、自然に学ぶと共に、文化的にも経済・社会的にも持続可能な発展を目指す取り組みです。
ユネスコエコパークは国内で親しみをもってもらうためにつけられた通称で、海外では「BR:Biosphere Reserves(生物圏保存地域)」と呼ばれています。
大台ケ原ってどこにあるの(アクセス)
大台ヶ原は、標高が高く大台ヶ原ドライブウェイが積雪や凍結がある為、毎年11月下旬~4月下旬は冬季閉鎖期間として通行止めになります。
この期間は、車の通行は不可能で、もちろんバスなども同様なので、他のアクセス方法もありませんので注意して下さい。
という訳で、各交通手段でのアクセスは下記の通りです。
車でのアクセス
大台ヶ原はどのルートから来ても、169号線から大台ヶ原ドライブウェイ(通行無料)へのルートになります。
カーブも多い峠道で、途中で狭い区間もあることから注意して進んでいく必要があります。
また、バスと同じで大台ケ原ビジターセンター前の駐車場まで行くことが出来ますが、駐車場は200台ほどで、紅葉などのシーズンは、早朝の段階で満車になることも考えられるので注意して下さいね。
場合によっては、のぼってきた大台ケ原ドライブウェイ沿いに路上駐車ということにもなりかねませんので、公共交通機関の利用も含めて検討してください。
公共交通機関でのアクセス
奈良交通バス
近鉄大和上市駅バスターミナル1番から「大台ヶ原」行きに乗って終点です。
所要時間 約1時間51分 片道2,000円
大台ヶ原行きの奈良交通バスは、大和上市駅~大台ヶ原(駐車場・ビジターセンター前)の区間で、冬季閉鎖期間以外の期間は、ほぼ毎日運行しています
◇平日
行き:大和上市駅9時発~大台ヶ原 10時51分着
帰り:大台ヶ原15時30分発~大和上市駅 17時21分着
◇土日祝日
行き:(1本目)大和上市駅9時発 ~大台ヶ原 10時51分着
(2本目)大和上市駅9時30分発~大台ヶ原 11時21分着
帰り:(1本目)大台ヶ原14時30分発~大和上市駅 16時21分着
(2本目)大台ヶ原15時30分発~大和上市駅 17時21分着
奈良交通様のホームページをご確認のうえ、ご利用下さい。
https://www.narakotsu.co.jp/rosen/rinji/2019spring_oodaigahara.html
運行本数は少ないので乗り遅れのないようにご注意下さい。
大台ケ原ビジターセンターについて基本的なこと
大台ケ原ビジターセンターの開館時間は9:00~17:00までです。
休館日は、大台ヶ原ドライブウェイの冬季閉鎖期間と同じで、毎年11月下旬~4月下旬となっています。
シーズン中はずーっと開いていますので、是非とも訪れてみてください。
入館料無料で、大台ヶ原に関する情報を収集することができます。
名称 | 大台ケ原ビジターセンター |
---|---|
住所 | 奈良県吉野郡上北山村小橡660-1 |
電話番号 | 07468-3-0312 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 毎年11月下旬~4月下旬(冬季閉鎖期間) |
入館料 | 無料 |
サイト | http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/odai_top.htm |
大台ヶ原ビジターセンター
大台ヶ原ビジターセンターは、駐車場に隣接してある施設で、登山道の入り口付近にあるので一度立ち寄ってみてください。
この施設は、吉野熊野国立公園へやってきた方に、大台ヶ原の自然や文化及び利用方法などについて情報提供を行うとともに、自然観察会などの自然教育活動を行う拠点施設として活用されていて、入館料も無料です。
僕も、思いつきでやってきたので、何も前情報がなくってどのように回ろうか、考えていませんでしたが、ここには散策や景観スポットなどの説明もあり、自分の歩ける範囲の散策コースを設定することが出来ます。
散策路自体は、シンプルで看板なんかもあって人も多く歩いているので迷うことはありませんね。
キレイな館内で、写真をしっかり使ったパネルで説明があるので分かりやすい。
ここである程度知識を入れて散策する方が充実して回れそう。
ただ、じっくり読んでいると1時間ぐらいかかるので注意ですね。
歩くのが苦手な方はここだけでも十分~って訳ないですが情報は収集できますよ。
今回のコースは、東大台コースと西大台コースがあります。
東大台コースが、メジャーどころの日出ヶ岳、正木峠、大蛇嵓などがある方で、勾配もないのでトレッキングって感じの歩きやすいコース。西大台コースは、事前申請が必要で、雨・霧などが多湿なので、苔があって景観が保護されており、より原生林の風景が楽しめます。
ちなみに、このサイズの桧(ヒノキ)で、樹齢300年以上です。
このみっちり詰まった年輪を数えるだけで大変ですね。
大台ヶ原に生息している動物の骨。
ニホンザル、ニホンノウサギ、イノシシ、ニホンアナグマ、シカなどなど。
大台ヶ原の東大台をトレッキング(写真で案内)
それでは準備完了したので出発!!
大台ヶ原ビジターセンター横の登山口から、まずは山頂の日出ヶ岳を目指します。
が、、、しょっぱなの看板。
ツキノワグマ・・・・。
ヒグマじゃないのでなんとかなるかなぁ。
と思いつつ、こんな看板見るとビクビクして歩くことになりますよ。
会ってみたいような、会いたくないような。
気を取り直して、歩き出します。
最初は平坦な未舗装の道で歩きやすい。
まぁ、もともと標高が高いところからのスタートなので、急勾配はないんで安心。
緩やかな登りの登山道を軽快に進む。
緑が鮮やかな木がある一方で、このように朽ちてしまった木もあります。
しっかり整備された道なので歩きやすいし、自然いっぱいでめちゃくちゃ気持ちいい。
鳥の鳴き声や風で木々の葉がこすれあう音などリフレッシュできます。
森の小鳥も紹介されています。
トウヒ林やブナ林など、木の種類によっても見られる鳥が違うんですね。
ちなみに今歩いているところはトウヒ林です。
途中では、沢の水が登山道に流れ込んできています。
看板に書いてありましたが、雨水などの一部が木下や落ち葉の下の部分に蓄えられて、少しずつ流れていくんですって。
地上に湧き出した水を見ることができて、動物や虫などが飲みに来る場所になっています。
結構水量が多いので、濡れないように岩を渡るのがちょっとアドベンチャー気分になれるのが好きなんです。
なんでもない場所に見えてもそういう役割があるんやなぁ。
ここから、階段で登りになってきます。
4月中旬でしたが、天気が良すぎて日差しも強く暑いので体力をうばっていくんです。
根っこなのか、木が複雑に入り組んでいるので、写真撮影。
特になんてことはありません。
まわりが開けたところに出てきました。
左に行けば日出ヶ岳と右に行けば正木峠という分岐点になります。
左側の頂上に日出ヶ岳の展望台が見えます。
最後の木の階段は勾配もそこそこで、意外とハードなのぼりです。
日出ヶ岳
息を切らしながら、大台ヶ原最高峰の木造の大きな展望台に到着しました!
木製の展望台からの景色は少しガスってますが絶景です。
この登山道の奥には、三重県大台町の大杉谷峡谷へつながっています。
あと、登山道と山の奥に見える正木峠は絶景です。
でも、これからあそこまで歩くのでゾッとしつつ見ています。
さえぎるものがないので、360度パノラマの眺めは良いですね~山々が重なっている様はしばらくぼーっと眺めていたくなる。
ここが日出ヶ岳の三角点になります。
ちょっと控えめのサイズですね。
このあたりにやってくると、木々が真っ白になって立ち枯れした木を多く見かけます。
まわりには木々がほとんどなくって、低い草が生えているだけで森林破壊が進んでいるのがあからさまにわかってきますね。
ちなみに大台ヶ原には多くの動物が生息しています。
ニホンジカ、ツキノワグマ、カモシカ、ノウサギ、テン、アナグマ、ヤマネ、ニホンリス、ホンドモモンガなんかが生息しているんです。イノシシはいないのかな?
正木峠、正木ヶ原
少し歩くと大台ヶ原に来て一番見たかった正木峠のトウヒの立ち枯れです。
木製の遊歩道が自然を守るためにもしっかり整備されてて歩きやすいです。
全然、前知識がなくって単純に朽ちていまも残っている芸術的な風景かと思いきや、負のシンボルと呼ばれています。
50年前までは、全国的にも珍しい針葉樹のトウヒの木が茂る森だったのが、今では横たわる死んだ木ばっかりになっています。
もともとは、1959年の伊勢湾台風が直撃し、多くの木が倒れ、太陽の日が届くようになった地面にササが大繁殖し、それを主食にしている鹿が急激に増え、木の皮を食べつくして現在のような大規模な立ち枯れにつながってしまいました。
目の前には枯れたトウヒが見えるのみ・・・・。
見渡す限り、死んだ木にしか見えません。
他では見たことのない景色で、凄く神秘的に見えて興味があったんですが、実際の敬意を聞いてしまうと少し考えてしまいますね。
この、景観は凄いなぁ。まさに大台ヶ原って風景ですよ。
こんな景色が見えるところが隣の県にあるんですからちょっと感動しますね。
木としてはまっすぐそびえ立っているこの木も死んでいるんですよね。
ちなみに動物のウンチはフィールドサイン。
形で何の動物か分かるんです。
シカやウサギは知ってましたが、クマって意外と普通なんですね。
もっと迫力のあるもんかと思ってた。
人が1人歩けるササの間の道を歩いていくと正木ヶ原に到着です。
このように朽ちた木が重なりあったり
根っこから倒れているものもあります。
2つに分かれているこの木は左は朽ちて、右はまだ生きている不思議な光景。
更に先へ進むと整備された木道です。
普通に未舗装の道よりもこんな道のほうがなぜかテンションがあがります。
特別感って大事ですよね。
牛石ヶ原
写真を忘れましたが、黒っぽい大きな岩があり、高僧の法力によってたくさんの魔物を封じ込めたと言う伝説が残っています。
この周辺は道も広がっており、休憩しやすいので多くの人が休んで食事なんかをとってました。
アップダウンもなくって歩きやすくって良かったなぁ。
両サイドに広がるササがなんともいい感じ~このあたりの木はまだまだ生きています。
石畳の道で凄く景観は良いんですが、でこぼこがありすぎて歩きにくいなぁ。
牛石ヶ原にはかの有名な神武天皇の像がたっています。
ゆかりはイマイチ分かりませんが。
写真で見るとちっちゃそうですが、かなりのサイズで迫力あります。
大蛇嵓
山道を進んでいくと、だんだん人工に整備された道に変わってきます。
木製の階段を登ったところが、大台ヶ原を代表するビュースポットの大蛇嵓(だいじゃぐら)です。
目の前に広がる絶景を見たら「おおおおお」って言ってしまうぐらい素晴らしい景色。
岩が突き出た断崖は、約1,000mの断崖絶壁で、高所恐怖症の僕には恐ろしいところ。
ただ、目の前には百名山の大峰山がそびえ立ってて大絶景。
足場はよくありませんが、落下防止のクサリがあり安全に先端までいくことができ、大峰山をバックに写真を取れる抜群の撮影スポットになっています。
特に大蛇嵓の先っぽが赤や黄色になる紅葉の季節は更に最高の景色が楽しめます。
今回、一番期待していた場所が大蛇嵓(だいじゃぐら)で、実際に見てみると、想像を遙かに越える断崖絶壁で驚きました。たぶん、高所恐怖症の人は、先端まで行くことができないのではないでしょうか。
帰り道
普通の山道でめっちゃ快適~。
先ほどの正木峠とは違って、緑が茂っています。
ところによっては多雨地域だけあって、湿度も高くコケが生き生きして生えています。
ただ、昔はコケのじゅうたんが見られたんですが、林床が乾燥化し、環境が変わってササが増えてきています。コケも1種類じゃなくっていろんな種類が生えていますよ。
あと毒のある植物もいくつか生息してます。
そのような植物はシカも食べないので、大群落になるんですって。
なるほど、そうたって見分ける必要もありますね。
キレイな清流なども眺めながら、のんびりトレッキングすることが出来ました。
という訳で駐車場まで戻ってきました。
この写真は、大台ケ原ドライブウェイの途中からの山々の風景。
めっちゃ絶景~。
まとめ
さすが大台ヶ原の景色は最高でした。
特に大台ヶ原の人気ビュースポットである正木峠と大蛇嵓はインパクトもあって大満足。
勾配は少々あるものの、それほどハードなコースではないことから3時間程度でしたが快適に歩くことが出来ました。新緑の季節も良いが、紅葉の季節は色鮮やかでめちゃくちゃ良さそうな気がします。
トイレは駐車場にしかないので必ず済ませてから登山をはじめましょう。